特定調停の記事

特定調停は任意整理と似ていますが、専門家に依頼するのが一般的な任意整理と違い、裁判所を通すため最低限の費用しかかからない特定調停はいわば庶民のための救済制度です。

法律の知識がなくとも裁判所の調停委員が債権者と依頼人の間に立ち、債務整理の仲介を行ってくれます。

また手続きもそれほど難しくなく、任意整理よりも金額的な負担が少ない方法と言えます。

特定調停の大まかな手順を確認しましょう。

1 特定調停の申し立て
2 調停委員の選任
3 調停期日の決定
4 調停成立
5 返済の開始

特定調停で借金を返済していくことに決めたら、まず自分の債務総額や過払いが無いかチェックします。財産、収入、支出が分かるものを用意し、申立てのための書類を全て揃えましょう。

そして、特定調停申立書類を裁判所に提出します。
この書類により、債権者からの請求や取り立てを停止させることができます。

次に、裁判所が通常二名の調停委員を選出します。一般的に、有識者や弁護士などが選ばれることが多いです。

選任された調停委員と話し合い、今後の支払い額や回数、過払いについて話し合います。

簡易裁判所から呼び出しがあり、調停が始まります。債務者は業者と調停委員との交渉を見守ります。通常債務者が業者と直接顔を合わせることはないので安心してください。

裁判官と調停委員によって構成される調停委員会が、債務者と債権者の双方の意見を調整します。

スムーズに特定調停が成立すれば、以降は利息なしで借金を返済していけます。
不成立の場合はその理由を聞き、自分で解決するのが難しい場合は、もう一度債務整理の方法を検討することになるかもしれません。

調停で決めた期日から返済が始まります。特定調停で手続きする借金は通常3~5年ほどで完済できる見通しの、金額の比較的少ないケースです。

特定調停は任意整理と同じようにローンを残したまま借金を返済することができますし、
手続きのための費用をかなり抑えることができるメリットがあります。

ただし裁判所を通した手続きが必須になりますので、平日に2、3回裁判所に足を運ばなければなりません。この期日を仕事などの都合でずらすことはできません。

その他、特定調停が決定したとしても、その計画通りに借金を返済できない期間が長く続くと、給与を差し押さえられたりすることがあります。

自己破産は借金自体を帳消しにできるという切り札的な手続きです。

自己破産したという事実が戸籍に残ったり、それを理由に会社を解雇されるということはありませんし、決して自己破産を怖がることはないのですが、やはり自己破産は債務整理としても最終手段であり、自己破産せずに借金を完済できるならそれに越したことはありません。

自己破産を含めた4つの債務整理方法は借金の状況、それぞれのケースによって、どの方法をとるのが最善かというのが変わってきます。

どんな状況にもオールマイティに対応できる債務整理というのは存在しないので、まず自分の置かれている状況を整理し、どの方法を選ぶのが適切かよく考えてみましょう。

・任意整理

任意整理は裁判所などの国の機関が関与しませんので、債務整理の中でも最も簡単で手続き自体も依頼人の負担が小さく、まず最初に検討したい債務整理です。

実際の手続きでは、司法書士もしくは弁護士が依頼人と債務者の間に入って話し合い、再計算した借金の元金について利息をカットした形で3年程度の期間で返済をしていく借金整理の方法です。

利息制限法で定められている利息を超えて支払った分については払いすぎた利息も元金にあたるとして借金の元金自体を減額できることもあります。

任意整理のメリットとして、今組んでいて返済が可能なローンの分を除いて借金を返済していくことができますし、自己破産と違い、車や不動産などの資産を手放さなくてもいい点が挙げられます。

・特定調停

特定調停は簡単に言うと、弁護士や司法書士の代わりに裁判所が債権者と債務者の間に入った任意整理です。

特定調停も任意整理と同じようにローンの分を除いて返済していくことができますし、不動産などの資産を手放さなくてもよい点がメリットです。

特定調停の場合専門家に依頼する必要がないため手続きの費用が抑えられますが、債権者からの取り立てに対し自分で対処していかなければならないこと、裁判所に何度も足を運ばねばならないデメリットもあります。

また、特定調停の場合、最終的に債権者と和解が成立しないと、利息を全てつけた状態で借金を返済していくことになります。

・民事再生

民事再生は住宅ローンを含めた多重債務に苦しむ個人に対して、マイホームを維持しながら経済的に立ち直るための法的な債務整理の方法として施行された法律です。

任意整理や特定調停は借金の元金は返済していかなくてはならないので、実際に住宅ローンを返済しながら借金を完済することは難しいと言われています。

民事再生の場合、住宅ローン以外の借金はかなりの額を減額することができますので、住宅ローンを返済しながら余裕をもって残りの借金を返済していくことができるのがメリットです。

また、自己破産のように免責不許可事由がありませんので、もし借金を作った理由がギャンブルだったとしても、民事再生を利用して手続きを行うことが可能です。

デメリットとしては他の手続きに比べ複雑で期間も長くかかることが挙げられます。
また民事再生は任意調停や特定調停と比べ、手続きできる債務がかなり限られてきます。