民事再生は債務者の経済生活の再生を図ることに重きをおいており、自己破産のように一旦破産させてそこから再生させる事が目的ではなく、個人資産を維持したまま、再生を目指すことを目的に制度化されたものです。
民事再生は債務整理の中で比較的新しい法律で、個人、法人どちらも手続きできますが、ここでは個人のケースを想定して民事再生の手順を確認していきましょう。
民事再生の手続きの手順
1 弁護士、司法書士への相談
2 受任通知発送
3 債権内容の確認・利息制限法による引き直し計算、申立書類の作成
4 裁判所に民事再生の申し立てをする
5 裁判所により再生手続きが開始される
6 債権の届出、異議申出(債権者、債務者)
7 裁判所、再生委員による債権評価
8 財産目録作成、提出
9 再生計画案作成、提出
10 債権者による書面会議
11 裁判所による再生計画案認可決定が確定
12 再生計画案に基づき返済開始
見てお分かりの通り、任意整理や特定調停などと比べ手続きが煩雑なため、弁護士・司法書士などに依頼して協力を得るのが一般的です。
ちなみに債務整理による個人再生手続では、小規模個人再生と給与所得者等再生があります。
大まかな手続きの流れは同じですが、どちらを選択するかで再生計画決定後の負担が変わってきます。
他の債務整理と同じく、債権者が受任通知を受け取った時点で取り立ては停止します。
個人の民事再生には最低弁済基準が設けられています。
最低弁済基準とは、最低限、借金をしている債務者が返済する必要がある金額の事です。
この最低弁済基準は
・債権の総額が100万円未満の場合には、債権総額の金額
・債権の総額が300万円を超える場合には、300万円
など借金の金額によって変わってきます。
再生計画案はこの最低弁済基準を満たすものでなければなりません。
民事再生は3~5年で完済できる返済案を考えていくことになります。
民事再生のいいところは、借金の理由を問わない点(借金の理由がギャンブルでも手続きを行えます)、「住宅ローン特則」により、住宅を手放さずに済むところなどです。
反面デメリットは住宅ローン以外全ての債権者に対して手続きを行わなければならないので手続きする債権者を選べないことと、手続きが債務整理の中でもっとも複雑で期間も長くかかることです。