任意整理の記事

任意整理は比較的手続きも簡単で、債務者の負担も軽いものとなっています。
反面、元金を返済していかねばならない債務整理ですので、借金の総額が大きい場合には難しい手続きでもあります。

任意整理を行うときは、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することが一般的です。
任意整理の手続きに必ずしも弁護士や司法書士を通さなければならない、という義務があるわけではないのですが、個人で直接債権者と交渉していくのはなかなか難しいため、専門家に依頼するパターンが多いようです。

では、任意整理のおおまかな手順を確認していきたいと思います。

1 弁護士、司法書士に相談
2 債権者へ「受任通知」を行う
3 利息制限法に基づき、借金の利息の再計算をする
4 返済計画をたてる
5 計画をもとに、債権者と交渉を行い、借金の整理案の合意を求める
6 債権者の合意を得る
7 合意内容に基づき、返済を開始

任意整理のメリットとしては、ローンを残し一部の借金だけを整理することができる、専門家に相談した後は取り立てをほぼ停止させることができる、業者との話し合いで手続きを進めるため、近隣の住民などに借金を知られることがない、裁判所を通さないので、時間的な拘束が少ないなどが挙げられます。

デメリットとしては、金融会社のブラックリストに載るため、数年間は新しくローンを組んだり、カードを作ったりすることができません。

また、保証人がいる場合、任意整理では保証人に対する取り立て禁止効果が適用されないため、取り立てが保証人のほうにいくことがあります。場合によっては、保証人も一緒に任意整理を受けた方がいいかもしれません。

利息は、利息制限法と出資法という2つの法律で決められています。
このうち利息制限法は年15%~20%と定められていますが、これを超えても罰則はありません。

それに対し、利息が出資法の年29.2%を超えると債権者は罰則を受けることになります。
よって、サラ金などの消費者金融はたいていの場合利息制限法以上、出資法以下の利息を設定しています。

任意整理の手続きでは、この差で借金の減額が可能になるのです。

自己破産は借金自体を帳消しにできるという切り札的な手続きです。

自己破産したという事実が戸籍に残ったり、それを理由に会社を解雇されるということはありませんし、決して自己破産を怖がることはないのですが、やはり自己破産は債務整理としても最終手段であり、自己破産せずに借金を完済できるならそれに越したことはありません。

自己破産を含めた4つの債務整理方法は借金の状況、それぞれのケースによって、どの方法をとるのが最善かというのが変わってきます。

どんな状況にもオールマイティに対応できる債務整理というのは存在しないので、まず自分の置かれている状況を整理し、どの方法を選ぶのが適切かよく考えてみましょう。

・任意整理

任意整理は裁判所などの国の機関が関与しませんので、債務整理の中でも最も簡単で手続き自体も依頼人の負担が小さく、まず最初に検討したい債務整理です。

実際の手続きでは、司法書士もしくは弁護士が依頼人と債務者の間に入って話し合い、再計算した借金の元金について利息をカットした形で3年程度の期間で返済をしていく借金整理の方法です。

利息制限法で定められている利息を超えて支払った分については払いすぎた利息も元金にあたるとして借金の元金自体を減額できることもあります。

任意整理のメリットとして、今組んでいて返済が可能なローンの分を除いて借金を返済していくことができますし、自己破産と違い、車や不動産などの資産を手放さなくてもいい点が挙げられます。

・特定調停

特定調停は簡単に言うと、弁護士や司法書士の代わりに裁判所が債権者と債務者の間に入った任意整理です。

特定調停も任意整理と同じようにローンの分を除いて返済していくことができますし、不動産などの資産を手放さなくてもよい点がメリットです。

特定調停の場合専門家に依頼する必要がないため手続きの費用が抑えられますが、債権者からの取り立てに対し自分で対処していかなければならないこと、裁判所に何度も足を運ばねばならないデメリットもあります。

また、特定調停の場合、最終的に債権者と和解が成立しないと、利息を全てつけた状態で借金を返済していくことになります。

・民事再生

民事再生は住宅ローンを含めた多重債務に苦しむ個人に対して、マイホームを維持しながら経済的に立ち直るための法的な債務整理の方法として施行された法律です。

任意整理や特定調停は借金の元金は返済していかなくてはならないので、実際に住宅ローンを返済しながら借金を完済することは難しいと言われています。

民事再生の場合、住宅ローン以外の借金はかなりの額を減額することができますので、住宅ローンを返済しながら余裕をもって残りの借金を返済していくことができるのがメリットです。

また、自己破産のように免責不許可事由がありませんので、もし借金を作った理由がギャンブルだったとしても、民事再生を利用して手続きを行うことが可能です。

デメリットとしては他の手続きに比べ複雑で期間も長くかかることが挙げられます。
また民事再生は任意調停や特定調停と比べ、手続きできる債務がかなり限られてきます。